国土交通省が中心となって、日本でもBIMの取り組みが始まっています。
BIMは、建築業界の課題を改善するといわれています。
とは言え、「自社でどうBIMに取り組んだらいいのだろう?」と悩む人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、国内で実際に始まっているBIMの取り組み事例をご紹介します。
御社にマッチするかどうか分かりませんが、ヒントにはなるかと思います。
先ずは、BIMとは何でしょうか?
BIMは建築業界に働き方改革を起こすと言われています。
Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の頭文字を取ったBIMは、ひと言で言えば、建築の設計図を3Dデータにすることで効率化しようという取り組みです。
アメリカで生まれたといわれるBIMは、車づくりからヒントを得ています。
自動車産業も生産性を上げるために、IT化の導入が進んでいます。
その自動車産業と同じように、建築の図面や立体モデルをぜんぶIT化することで、建築に関わる多くの人が働きやすくなります。
たとえば紙ベースの図面の場合だと、完成図を簡単に予想することはできません。現場経験や知識が豊富な技術者しかイメージできず、関係者みんなが共有するのは難しいでしょう。
そんな時に活用できるのが、BIMです。
BIMに取り組めば、設計ミスのチェックや手戻り工数の削減など、建築業界の課題解決が期待できます。
建物は元々、三次元構造物であり、二次元の建物はありません。
平面図だけで図面のチェックを行なっても、実際に作ってみると高さ方向で干渉があり、現場で「何だこれ!」となった経験は誰もがお持ちでしょう。
建築業界は国内でも2番目に大きい市場ですが、人材不足が深刻化しており働き方に課題があります。
工期が間に合わず深夜残業が続いたり休日がなくなったりと、関係者の負担は他の業界よりも大きいのです。
そんなときに、現場で手戻りが発生すると、管理者も職人も残業・徹夜・休日出勤に追われることになります。
BIMを上手く導入できれば、品番や寸法・数量や性能までデータ化できるので大幅な業務改善が見込めます。
実際にBIMを導入している企業の設計者225人に、BIMによって生産性が向上したかどうかについて質問しています。
「あなたの勤務先は、BIMツールのメリットをどのくらい生かしていると思うか」という質問に対し、「最大限に生かしている(4%)」と「かなり生かしている(18%)」を合計すると、22%がBIMツールのメリットを生かした使い方をしているようです。
また、半数以上が「一部だけ生かしている(64%)」と答えられています。また「ほとんど生かしていない(15%)」は少数派で、BIMツールのメリットを生かしている企業が大多数といえそうです。
しかも上記は最近BIMを導入した企業様だけのアンケートです。
では
BIMの特徴や従来のCADとの違い、メリット・デメリットについて少し考えて見ましょう。
BIMは最初から3Dのオブジェクトを組み合わせて作成します。
従来のCADとの大きな違いはそこにあります。
従来の3次元モデルは「骨格から作成して肉付けする」のに対し、BIMは「直接、3次元の各パーツを組み合わせられる」のです。
さらに3次元モデルから2次元の平面図などを生成できることから、従来とは、作業手順が逆になります。
私の専門分野である、建設設備の業界でBIMを導入した場合、ざっと以下のメリットがあります。
詳細で精度の高い見積書を作成できる
各部材の干渉チェックの簡易化
構造フレームとの干渉を事前に回避できる
耐震基準に適した吊り金物などのオブジェクトを自動生成可能
図面と3次元モデルの整合性の調整が容易
知識がない人にもイメージを共有しやすい
ワークフローの一元化
逆にデメリットは
初期導入コストが高額
専任のオペレーターが必要
初期の教育に時間が掛かる
等です。
しかし、BIMを活用できれば、ミス軽減、コスト削減、売上拡大、効率の向上というメリットを得られます。これは、デメリットよりも遙かに大きなメリットです。